三毛猫、サビ猫の毛色ができる遺伝子が発見された話2025.5.27
「三毛猫」はその名のとおり、白、黒、茶色の3色の毛が生えている猫ちゃんです。また「サビ猫」は黒と茶色のまだらになった猫ちゃんです。猫の毛の色の発現には遺伝子が関わっており多くはすでに特定されていますが、これまで茶色(オレンジ色)に関わる遺伝子についてはよく分かっていませんでした。それが今回、明らかになったのです。
猫の毛の色には遺伝子が関わっており、毛が白色になる遺伝子などはすでに特定されています。ただ、茶色(オレンジ色)については、具体的な遺伝子までは特定されていませんでした。
今回、九州大学生体防御医学研究所を中心とした研究グループは、猫の毛の色が黒になるか茶色(オレンジ色を含む)になるか、どちらになるかを決める「ARHGAP36」という遺伝子を発見したのです。
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1261
昔から三毛猫やサビ猫はメスばかりであることが知られていました。そして、茶色(オレンジ色)に関わる遺伝子がX染色体上にあることが予想されていました。
そもそも猫の遺伝子は、18組(36本)の常染色体と1組(2本)の性染色体(オス=XY、メス=XX)の合計19組38本からなります。
メス猫の細胞では一対のX染色体の片方がランダムに選ばれて不活性化されるという仮説が提唱され、三毛猫やサビ猫の模様はこの仮説と合致する例として広く受け入れられてきたのです。
ちなみに人間の場合は、23組(46本)の常染色体と1組(2本)の性染色体(男性=XY、女性=XX)の合計24組48本です。
https://zhuanlan.zhihu.com/p/34176712
※この図は性染色体がXYの組み合わせであるオス猫のケース
しかし、60年以上経っても、遺伝子の正体やその働きについては明らかになっていませんでした。
今回、九州大学生体防御医学研究所を中心とした研究グループは、その遺伝子の正体が「ARHGAP36」であることを突き止めました。
研究グループは、福岡市内の様々な毛色を持つ18匹の猫のDNAを解析し、茶色(オレンジ色)の毛を持つ猫のX染色体にはARHGAP36遺伝子内に約5000塩基の欠失があることを見つけました。さらに50匹以上の猫を調べ、海外のデータも参照したところ、この欠失の有無と茶色(オレンジ)の有無が完全に一致していたのです。
さらにその他の検証結果を照らし合わせ、遺伝子の正体はARHGAP36であり、この遺伝子が正常に働くと毛が黒色になる一方、この遺伝子の一部が欠失すると色素の色が変わって茶色やオレンジ色になると結論づけたのです。
なお、今回の研究はクラウドファンディングの資金に基づいて行われ、研究スタイルにも新しい発見があったといえそうです。
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